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『選挙』

 同じく想田監督の作品『選挙』を、懲りもせずに第七芸術劇場で観る。
 七芸は、十三のピンク街のど真ん中にあるミニシアター。例えどんなに映画で素敵な世界へ飛んでいけても、映画館を一歩出たら「超現実!」ってところがいい(いいか?)。
 
 『選挙』。自民党が素人を「公認候補」としてまつりあげ、いかに選挙戦を展開していくかを描いたドキュメンタリー。川崎市の市議会の補欠選挙で、野党と与党が18対18で拮抗している状態だから、補欠の「あと一票」としてだけの候補者として、「山内さん」が選挙に初挑戦する。
 講評などには「笑える」とか書いてあるし、世界中で面白く放送されたらしいが、日本社会に身を置く私としては、痛々しくて笑えなかった。自民党や選挙が「おかしい」というよりは、私の周りにも「よくありそうなこと」だから。
 自民党公認になった山内さんは、「選挙のプロ」たちから怒られまくる。失敗したら「あんたの選挙なんだから、あんたが決めろ!」と怒られながらも、すべては言われるがままにしないとまた怒られる。奥さんを「妻」と呼ぶと怒られる(「家内」が正しい)。「政策なんて誰も聞いてないから、名前をとにかく連呼しろ」と言われる(実際彼は、政策らしいものは語らない)。道路に並んで、順番に「山内でございます。いってらっしゃいませ!」→皆「いってらっしゃいませ~!」(部活か?)。奥さんも「家内が一緒にやってるってイメージが大切」と借り出され、しまいには「仕事もやめろ」と言われる。後援会で、「政策はいいから、子作りにいそしめと話してるんですよ。疲れてるときほど生殖能力はあがる」などと平気で言う議員と、ニヤニヤする支持者たち(結婚式の挨拶なんかでも思うけど、なんで人々は夫婦の子作りにこうもヅカヅかと踏み込みたがるのだろうか)。幼稚園の運動会へ出かけまくり、子どもたちを「気をつけ!」させて来賓挨拶という名の選挙演説をしたり、老人会?の運動会で、なぜかラジオ体操を一緒にやったり、お祭りで神輿をかついだりを、応援の自民党議員総出でやる。「これだけ総出で手伝ってもらって議員にしてもらうんだから、造反なんてあり得ないんだよ」。
 意見は語るな。言われたとおりにしろ。失敗したら「自己責任」。育ててもらったんだから歯向かうな。ラジオ体操、順番に台詞を連呼、そういうことをニコニコやる。疑問は感じるな。あー。私、そういう「世界」、いろんなところでよく知ってるよ・・・。
 
 で、そんな「政策を語らない」自民党候補の山内さんは、結局のところ当選してしまうんだなー。
 はぁ。
 
by bag-tentomusi | 2009-08-01 01:44


「知彩庵」より。日々の咀嚼と、紡ぐことば


by bag-tentomusi

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