「社会」

 とある作業所の、10周年記念大会に参加する。
 この作業所がすごいと思うところは、近隣の高齢者施設の理解のもと、ボランティアや「仕事」として介護や清掃などの機会をメンバーが得ているということ。もともと障害の特性上(?)、一般の精神障害者の作業所で行われているような、いわゆる「内職」作業は、うまくいかなかった経緯もあるらしい。

 病気から「回復」していくなかで、焦って仕事に就くことは、大きなリスクを伴う。一方で、病気によって「社会」のなかで奪われていったものは、「社会」のなかでしか取り戻せない。それは、挨拶をすること、朝起きて夜寝ること、座ってご飯を食べること、信じること、受け入れること、許すこと、落ち着くこと、嘘をつかないことなど。

 彼らが高齢者施設で働くことによって、「お年寄りに世間を運んできた」こと、そして施設のスタッフに「働くこと」の意味と「人生はやり直しがきく」ということを問いかけたことの意義は大きかったと、その施設長から報告があった。
 作業所へ通っている方たちはもともと、几帳面で真面目で融通は利かないけれど世話焼きでやさしい人たちが多い。それゆえに、と言うと語弊があるかも知れないが、うまく「社会」でやっていけなかった人たちでもある。そんな彼らが、人生の黄昏を迎えた方たちに対してどのような接し方をされているかは、想像に難くない。
 
 今日は最後に、作業所メンバー全員が舞台で歌を歌って終了となった。、彼らの背景にある人生や抱えているものはそれぞれにハードで壮絶なもので、そんな彼らが同じ場にこうして集って生きているということは、それだけで十分に胸を打つものであるということ。
 そういうことを「知る」機会を得たことを、ありがたいと思う。
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by bag-tentomusi | 2009-11-02 01:54


「知彩庵」より。日々の咀嚼と、紡ぐことば


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