祝島1

 
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そもそもGWに祝島へ行こうと思い立ったのは、「言い訳」みたいなものだ。
 
 今年のGWは同僚に全く配慮せずに(笑)4連休をとった。被災地へ行くことを考えたが、現地で活動しているNGOの友人から「GWは外した方がいい」と言われ、それもそうだろうと納得する。仮に個人で行くとして調べてみたら、関西から東北はとにかく遠い。高い。あぁ、そういう距離感なんだなぁと思う。
 
 じゃあ、というわけで「祝島」というとてもきれいな名前を持つ島へ行ってみることにした。
 とても美しい島だと聞いた。関西からも近い。そして、島の目と鼻の先に中国電力が上関原発を建てようとしている場所でもある。

 私の原発との最初の出会いは、大学生のときに行った福井県の長浜原発だ。そのすぐ近くの民宿で1ヶ月ほどバイトをしていて、昼休みにチャリを借りてあちこち遠出していたときに、門の前まで行ってみた。その不気味な感じは今でも覚えている。
 当時の私は、広河隆一さんのチェルノブイリの写真や講演なんかに触れて、何かとんでもないものだという感覚はあったので、きっと住民たちは大迷惑してるんだろうと思っていた。ところが民宿に帰って話してみたところ、何だか微妙な空気になった。住み込み先は息子さんが二人いるのだが、次男さんは原発で働いているという。長男さんは農協。かつて長浜は大阪からの泊まりの海水浴客で賑わった場所だが、高速道路ができたおかげで皆が日帰りで帰るようになった。だからお父さんとお母さんが切り盛りしてきた民宿だけでは、食えなくなっているというのだ。
 私たちにとって「便利」なはずのものが、彼らの生活を少し狂わせているのか、という驚きを覚えたまま、その話は何となくタブーになった。その大阪から来た者が、原発で働いている人を目の前にして、軽々しく「原発はあかん」と言える気がしなかった。
 そのときから私は、今でも、原発はエネルギーの問題というよりも、もっと根の深い経済の問題なんじゃないかと感じている。

 長浜原発はとても真っ白で、冷たい感じがした。表玄関には誰もいなかった。
 その後も1ヶ月、毎日遠出した若狭の海と地形は、それはそれは美しかった。私が「今日はここに行った」と報告するたびに、お母さんは「えー、そんなとこまで」とびっくりするので、調子に乗ってあちこち行った。まだあるかな、民宿甚平衛。


 祝島は1982年、中国電力が対岸4km先に原発を建設する計画を持ち出してから、一貫してずっと反対運動をしてきた島だ。30年間ずっと。
 「私らは、この海と山があったから生きてこれたんじゃ」「みんなの海じゃ」「海は売れん」と叫んでいる映像を見て、何つうカッコいい人たちなんかと思った。
 友人は「私も自分のことになったら、反対すると思うけど・・・」と言う。でも、きっとそんな簡単なことじゃないと思う。
 原発銀座を受け入れた若狭の人たちだって、決して故郷を売ろうと思ったわけではないだろう。自分のことに置き換えても、生活に密着すればするほど「おかしい」「嫌だ」と言い続けることは、とても疲弊するし大変なことだ。良心のままに“続ける”ことは、実は簡単なことではないということを、私も何となく分かる年になってしまった。しかしそれを、続けている人たちがいるという。
 今、遅ればせながら、まずは行ってみようと思った。
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by bag-tentomusi | 2011-05-02 00:00


「知彩庵」より。日々の咀嚼と、紡ぐことば


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