行政マン

 患者さんに付き添って、児童相談所へ行った。
 大阪南部の府の施設内にあるのだけれど、古くて薄暗い。
 でも、対応はとっても良かった。
 相談内容はすでに電話で伝えていて、急な依頼だったのだが、来所した日には子どもの保護先など、すべて段取りが整っていた。お母さんとの面接中は「子どもと遊ぶ係」の人もスタンバイしてくれていて、お母さんに対しては丁寧な聞き取りもしてくださった。

 大阪府が2年前に設立した、刑を終えた触法知的障がい者の方たちの入所施設がある。少し前に、そこの職員の方からもお話をうかがった。民間では難しい方の対応という意味合いもあるようだが、入所者よりも職員の方の方が多いくらいの人員配置(それでも、すごくすごく難しくて大変な仕事だと思う)で、適切な感情表出の訓練をして地域で暮らしていけるように、まさに昼夜を問わず対応されている。
 職員の方は、「民間ではとてもできないような人員配置だと思っています」と語られていたが、理想を追ったその姿に、感動すら覚えた。
 
 この前見たマイケル・ムーア監督の『キャピタリズム』で、アメリカのある州で少年院を「民間委託」した結果、ほんの些細なこと(ショッピングセンターで友人と喧嘩したとか、母親の恋人に物を投げつけたとか)で、細かな事情も聴かずに何ヶ月もの間「投獄」される子どもたちが爆発的に増えたという話があった。市場の原理から言えば、その方が「儲かる」のだから、当たり前と言えば、当たり前だ。患者を探して各精神科病院の車が保健所に横付けされていたという、少し前の日本の現状と同じようなものだろう。日本でも刑務所の「民間委託」は始まっていて、概ね肯定的な評価なようだけれど、フムと考えさせられた。

 今回、児童相談所や施設の府職員さんたちの体制が、少なくとも私にはギスギスしているようには見えなくて、とても救われた。やっぱり行政は、行政なんだから、市場原理を離れて「理想を求める」姿勢がいるんじゃないだろうかと思うし、そうやってきた行政人たちは少なからずいるんだと思う。もっと彼らを大切に思った方がいい。
 私は、自分が子育てができなくなったり、法を犯したり、食べていけなくなったとき、そういう人にいてもらいたい。それを「無駄」と切り捨てる人たちは、自分は絶対そんなことがないと、本気で思ってるんだろうか。
  
 それに、対人援助職なんて、一見「無駄」なことの積み重ねでしかないと思う。
 「無駄」の中の、宝探しみたいなもんだ。
 だいたい、人の人生が、そうなんだから。
 いや、他の人のは知らないけど、少なくとも私の人生は、そうだ。
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by bag-tentomusi | 2011-10-28 23:33


「知彩庵」より。日々の咀嚼と、紡ぐことば


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