北陸うまいもん道中 その1

 金沢へ来たのは、2回目だ。

 1回目は、地元紙「北國新聞」採用試験を受験すべく、大学生のときに来訪した。
 そのときの筆記試験の作文のお題が「ケイタイ電話」で、「ケイタイ」の漢字が急に思い出せなくなり頭が真っ白になって、散々な結果のまま近江市場と兼六園をふらつきついたというほろ苦い記憶がある。まぁ、当時は「北國新聞」が「キタグニ新聞」ではなく「ホッコク新聞」だということすら分かっていなかったので、例え面接に進んでも「キタグニ新聞は・・・」などと言って恥をさらしていたであろうから、さっさと筆記で落ちておいて良かったのかも知れない。

 そんな懐かしい金沢へ里帰り中の先輩が、「おいで」と言ってくださったので、今回は遊びに行った。
 当時は大学4年の秋くらいで、「金沢なんて2度と来ないかも知れない。思えば遠いところまで来てしまった・・・どうしよう・・・」と思っていたし、知り合いもおらず「まち」の遊び方なんかも全然わからない小娘だった(当たり前だけど)。10年後に再び「無職」となった自分が、ウキウキワクワク遊びに来るなんて、当時の私からしたら「はんっ!」ってなもんだろうと思うと、何だか楽しい。
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(1日目)
 
 金沢駅にはバスで早朝6時前に到着。
 駅前のアパホテルが6時から外湯をやっているので、アパホテルへ直行。ここは駅前で、露天風呂もあり、「レストルーム」には新聞雑誌もあって仮眠もできるので、夜行バス利用の際には大変よろしい。
 まずは暗いうちにと思って、震えながら露天風呂に行ってみたら、ぬ、ぬるい!
 しばらくしたら温かくなったけれど、ちょっと残念であった。営業前にあわててガスの元栓をひねったのかしら・・・。

 入浴後はレストルームで「るるぶ金沢」を熟読し、ホテルの朝食も頂戴し、「金沢周遊バス」に揺られて「ひがし茶屋街」へ。ひがし茶屋街は1820年に加賀藩が周辺に点在していたお茶屋を集めて町割りした地域で、古いお茶屋さんや町家が残っている。当時の「お茶屋」は商家のご主人だけが出入りを許され、一見さんはお断り。客と店は対等、芸妓だけでなく客にも高い教養と技能が求められ、「お茶屋遊び」のために習い事をしたのだとか。支払いはすべて後の信用ばらいで、その場でお勘定なんて無粋なことはしない。なかなかハードルの高い粋な遊びだったのだ。
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 そんな表通りから少し外れたところに、天保元年創業の「高木糀商店」さんはひっそりとある。
 こちらで味噌の仕込みをさせていただこう!というのが、今回の旅の主目的。先輩と落ち合い店に入ると、高い天井に梁がむき出しの店内には、香ばしい大豆の香りが充満している。店内には若いお母さんたちと子どもがたくさん。店のご主人や奥さんも、私と同い年で頑張っておられるのだ。
 さっそく、持参した真っ白の割烹着(刺繍つき!)と手ぬぐいを着用し、腕まくりして作業!・・・と思いきや、そうではなく、小上がりに座り込んで、昨年のお味噌をお湯に溶かしていただきながら、大豆の香りと蒸気を胸いっぱいに吸い込みつつ、子どもたちと遊んだり他の方とおしゃべりしたりする。ゆるい。
 ちなみに金沢弁は、語尾が「○○でぇ、○○だからぁ」と伸ばして上がるようで、何だかちょっと「コギャル」っぽい(失礼!)。「え?大阪から?(お味噌やさんは)京都とかにもあるんじゃないですか?」と数人に言われる。言われてみれば、確かにそのとおり。
 お味噌作りだが、最も面倒だと言われる大豆を蒸して潰す作業はすべてお店の方がやってくれるので、私たちは名前を呼ばれたら土間にいそいそと出て行って、ホカホカあったかい大豆ペーストに塩と糀を混ぜ込んで、丸めて、容器にぶち込むだけ。「はい、できましたね」とご主人に笑顔で言ってもらったら、樽をかかえて小上がりに戻り、またしゃべる。まったくもって、ゆるい。
 そんなこんなで何の努力もしないまま、1升分の味噌はできあがった。今年用の味噌と、塩麹用の麹も少し、それからお土産にと蒸した大豆も分けていただいて、樽をかかえて大阪まで帰ってもいいんだけど、これは送ってもらうこととする。
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 さて、一応労働したことだし、お待ちかねのお昼ご飯は「高木糀商店」の若い夫婦のご紹介で、さらに路地を奥深く進んだところにある『畑の食堂ごくらく屋』さんへ。
 町家のようなところで若い一家がされているお店。木の香りがするロフトのような2階で、地元の野菜をふんだんに使ったランチがいただける。先輩のお友達も合流して、昼ビールで乾杯。うまーい。
 お料理は、「太陽の恵セット」というのを注文したのだけれど、玄米ご飯にカレー、パン、いっぱいいっぱいのお野菜のお惣菜が山盛りになっていて1000円は安い!大丈夫か?と心配したくなる。そして、ものすごく美味しかった。朝ごはんのバイキングを欲張りすぎたことを、今さらのように後悔する。

 お昼ご飯のあとは、今度はお菓子を求めて徘徊。地元の方お勧めの『月天心』さんへ行くが、ここは「普通のお宅」といった感じの店構え。すでにほとんどの商品が完売しており(昼過ぎなのに!)、「豆かのこ」を購入。これは、お土産。
 その後、ひがし茶屋街の重要文化財であるお茶屋『志摩』にて、庭園を眺めながらお抹茶ときれいなお茶菓子をいただく。ふーむ、べつばら、べつばら。
 
 その後、先輩たちとは別れて、もう少し町のなかをウロウロ。「金沢のアメ村」と紹介された「タテマリ通り」を歩き(「アメ村」と例えるには、だいぶ無理がありましたが(笑))、にしの茶屋街にも足を伸ばす。
 最後は、雑貨+喫茶『collabon』さんへ。

 昼間に和菓子屋『月天心』を訪れたとき、店頭にさりげなく雑誌『そらあるき』が置いてあったのを見つけた。「そらあるき」は、金沢のあれやこれやを取り上げた小さな雑誌で、だいぶ昔にその存在を知ってから、密かに憧れていたのだ。「うぉー!『そらあるき』やん!」と興奮していた私に、「それなら、バックナンバーそろってるし、店の雰囲気も好きそう」と先輩が紹介してくれたのが、『collabon』さん。お店の方は実は「そらあるき」の編集スタッフでもあるようで、雑貨や素朴な雑誌が置かれた店内は、「何時間でもいれちゃう」雰囲気。
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 そして!特筆すべきは、そちらでいただきた「二三味(にざみ)珈琲」の美味しさ。珈琲が「しみじみ美味しい」と思うことって、実はあまりないんだけれど、これはしみじみ美味しかった。お店の方に聞くと、「能登の漁師小屋で焙煎しているんですよ」と、それが味にいかなる影響を与えているのかイマイチよく分からない説明が、またなんか、よかった。

 いやはや、金沢とってもいいところだねぇと思いながら、夜は先輩と駅ビルのお勧め回転すし屋さん『もりもり寿司』へ。金沢でお寿司。もはや言うまでもあるまい。
 あー!ウニ食べるの忘れてた!!キィー!!
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by bag-tentomusi | 2012-02-12 19:14


「知彩庵」より。日々の咀嚼と、紡ぐことば


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