北陸うまいもん道中 その2

(2日目)

 8時49分金沢駅発の「しらさぎ」舞鶴行きに乗る。
 福井駅に9時36分着。9時50分発の京福バスに乗車。
 目指すは「雪の永平寺」。

 バスに揺られること30分。驚くほどあっけなく到着してしまった。
 昔の人は永平寺にお参りするために、それこそ死ぬ思いでやって来たことだろうに。
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 まずは社務所のようなところで拝観料500円のチケットを買い、靴をぬぐ。それから広間で小僧さんより「拝観の注意点」を聞いてから順路を進むこととなる。修行中の小僧さんを何人かお見かけしたけれども、みんな裸足。寒かろうなぁ。

 永平寺は下から、山門、中雀門、仏殿、法堂と続く。山門からくぐってお参りできるわけではなく、その横に屋根付きの長い階段廊下があり、参拝客はそこを通ってお参りをする。
 法堂の入り口に腰掛けてから仏殿を眺めると、屋根にこんもりと雪がつもっている。まるで昔話のお寺みたいだ。向こうに見える山々も雪化粧。
 吐く息は白い。ときどき鳥のさえずりが聞こえてくる。
 春が近づいているのかな。30分ほどたたずむ。
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 一番奥にある法堂は説法の道場だそうで、禅師様がお座りになるであろう台座の上には金の装飾品がこれでもかと垂れ下がり、薄明かりの中で怪しく光る様子は、さながら極楽浄土。不思議な気持ちになりながら、30分ほどたたずむ。

 そして、永平寺のご本尊、釈迦牟尼仏が祭られているのが、その下の仏殿。
 この仏殿が、慎ましやかでありながら、何となく異国感を漂わせている、なんともシンとした空間であった。
 三方に彫られた欄間には、禅宗の逸話を図案化したという彫刻が12枚もはめ込まれていて、それを見ているだけで楽しい。正面の布は開かれていて、お釈迦様がちらりとお顔を覗かせている。
 正座して正面に座っていると、時々は団体の観光客がどやどやとやって来るものの、皆あっという間に引き上げるので、雪で雑音がかき消されるなか、静寂の世界のなかでお釈迦様と2人きりになる。
 肯定も否定もせず、姿勢を正したまま微動だにせぬお釈迦様にいろいろ報告をし、「そうですか。頷いてはくれませぬか」なんて突っ込みながら(笑)、気がついたら1時間くらいお話をしていた。さぞかし、信心深い(と言うか、怪しい)女一人旅と思われたことだろう。
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 さて。身体が芯から冷え切ったところで下山。
 さっそく門前のお食事どころで、あったかい「永平寺そば」をいただく。
 まぁ、なんて言うか、普通のお蕎麦だった。
 「永平寺ぜんざい」ってのもあったので、ついでに注文してみる。こちらはもちの代わりにゴマ豆腐が入っているらしく、微妙かなと思ったら意外に美味。
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 その後、たまたまタイミングがあった別の先輩が車で迎えに来てくださったので(ありがとうございます)、東尋坊まで連れて行ってもらった。東尋坊と言えば「自殺の名所」みたいになってしまったけれど、「東尋坊タワー」まで建っていて、実は立派な観光地なのだ。お土産やさんもたくさんあって、そこにぶら下がっていたカレイの干物を購入して帰る。
 ちなみに自宅で食べてみたところ、たいへん味わい深い美味しさだった。特にキモの部分など最高である。

 そんなわけで、福井も大満喫したのち、夕方には金沢へ到着。先輩とは別れて、ひがし茶屋街近くにある古本+喫茶『あうん堂』さんへ向かう。
 『あうん堂』さんも、「そらあるき」の編集スタッフの方のお店で、長屋の自宅1階を古本屋と喫茶店にして営まれている。本の品揃えも、なかなか素敵。トイレをお借りしたら、なんとトイレ内にも魅力的な本がたくさん並んでいる。「これはトイレで読めってことか?ここから持ち出して購入するのか?それは微妙かも・・・」と悩んでいたら、本棚に貼り付けられて取り出せない仕組みになっていた。ディスプレイだったらしい。
 珈琲は、こちらにも「二三味珈琲」があったので、迷わず注文(後で調べたら、二三味珈琲が飲めるのは、こちらと「collabon」の2店だけだったらしい)。美味しいねぇ。店員さんに聞いたら、やはり「能登の舟小屋で焙煎しました」というお答えであり、なんか分かんないけど、いい感じ。

 そして、この日の晩ご飯である。
 『あうん堂』のご主人と来店していたお姉さんに、「安くて、美味しいものが食べれて、一人でも入れるところ」を聞いてみたら、2人そろって「それなら、『長平』へ行くといいよ」と言う。「おでん屋。酒は黙って燗をつけてくれる。小鉢も充実。安い。おにぎりが美味しい。女一人でもすごく楽」。ほう、ほう。まるで旧知の仲のように、私の好みをピタリと当ててくださる。「そこへ、行きます!」

 オレンジ色の街灯が灯り始めた主計町茶屋街から、細い坂を登ったところに、おでんや「長平」はあった。何のことはない普通の居酒屋で、おかみさん2人がカウンターで迎えてくれる。決して「小ぎれいな」店ではない。すでにサラリーマン4人組みが盛り上がっており、その後に常連らしき中年女性2人組が来店。
 カウンターには大鉢があって、その中から、バイ貝の煮付け、鰯のぬたを注文。他にも鯵の南蛮漬け、ナメコ、小エビと小魚のから揚げ、カブの酢の物など。全部食べてみたいけど、グッと我慢。日本酒は、コップに燗酒がなみなみと注がれる。
 バイ貝もぬたも、たっぷりの量があり、それらをつつきながら、金沢弁のおしゃべりに耳を傾けつつ、美味しそうに湯気をあげるおでん鍋を見つめる。
 おでんは、いものこ(里芋)、焼き豆腐・・・それから、鍋にプカリと浮かぶ黒い物体、しいたけを注文。
 しいたけは「能登115」というブランドらしく、厚さが2センチほどもある。「手毬しいたけ」とも言うらしく、まさに手毬のように丸々していて、かぶるとジュワっと、まぁ美味しい。
 しいたけも大きいし、いものこは2つもついてきたし、焼き豆腐も1丁はありそうな大きさだし、いい気分にお腹いっぱいになったところで、お隣のご婦人と店のおかみさんが「がんも、ちょうだい。○○豆腐店のやつ?」「ちがう。○○豆腐店より、もっと美味しいとこの」と話しているのが聞こえてくる。そして出されたがんもが、とっても大きくて、とっても美味しそうなのだ。あああぁぁ、がんもが私を呼んでいる。
 というわけで、「私も、がんもくださーい。日本酒ももう一杯くださーい。」

 さてさて。最後にお勧めのおにぎりを食べねばならない。お腹いっぱいだけど、後悔を残して大阪に帰りたくない。
 「あのぅ、こちらを紹介してくれた方が、『おにぎりが美味しい』と言っていたので、どうしても食べたいのですが、小さいのちょっとだけ、握ってもらえませんか?」と聞いてみたら、にっこり「いいよ」と言ってもらって、おにぎりまで平らげて、お会計は2800円だった。なんと、まぁ。
 あー、おいしかった。

 ほっこり幸せな気分になり、ふらりふらりと宿まで30分、歩いて帰る。
 『あうん堂』のご主人からは、バー『一葉』へもぜひ行ってみるようにと言われたが、これは次回の訪問のときにとっておこう。ちょっと、いくらなんでも、食べすぎだからね。
 
 
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by bag-tentomusi | 2012-02-13 09:29


「知彩庵」より。日々の咀嚼と、紡ぐことば


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