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PALAU その一

 
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「ロックアイランド」は、さんご礁が長い年月の中で積もってできた、石灰石の島々のこと。
 シーカヤックで入り江のトンネルをくぐると、鏡のように静かな緑の水面が広がる。
 海面ぎりぎりまで迫るジャングルとマングローブ。キョエーッという鳥の鳴き声。
 なんとなく、まだ日本での雑多なことから逃れられないまま神様の世界に来てしまった感じで、うまく口がきけなかった。

 ふと空気の流れが変わって、風が吹き始める。
 最初はひゅーと吹き抜ける感じ。
 それから上空の方を強い風がとおったのか、入り江の私を取り囲むジャングル中の木樹が、一斉にぞわぞわーと騒ぎ出す。
 天狗が大きな団扇でひとなでしたように、ジャングルがお互いに騒ぐ。木の葉が舞う。
 もちろん、ここはパラオだから、パラオの精霊の仕業だろう。
 何かがいると感じた。何かが空をかけた。
 それから一瞬、空気がまた止まって、一気にスコールが降ってきた。

 下の写真は、そんな静かな入り江に沈む、太平洋戦争中の日本軍の上陸船の残骸。
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by bag-tentomusi | 2009-09-28 01:13

旅のつづき

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 雨が降りそうな谷町筋の喫茶店の窓際で、手紙を書く。
 ベリーがたっぷりかかったショートケーキと、紅茶はヴィンテージ・ウバ。
 目の前のガラス戸に、自分のシルエットが映ってて、耳には高瀬貝のピアスが揺れている。
 手紙の宛先はパラオで世話になった友人で、高瀬貝はパラオで買ったもの。
 パラオから帰って1週間以上が経って、ようやくのんびりと手紙を書く。封筒と便箋も、わざわざ新調する。
 旅の続き。贅沢なおまけみたいなもの。

 パラオでは、友人のホームステイ先に泊めてもらった。
 夜は水のシャワーを浴びて、虫と蛙の大合唱を聞きながら眠る。
 夜が朝に変わる瞬間、虫の声が一瞬止んで、次の瞬間に鶏が鳴きだす。
 太平洋に陽が昇る。
 濃い緑と、深い青。
 精霊の存在。
 そういうことを思いながら、手紙を書く。
 旅の続き。贅沢なおまけみたいなもの。
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by bag-tentomusi | 2009-09-23 01:31

ラブソング

 
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 またまた、十三の「七芸」へ映画『朴保』を観に行く。
 しかも、「合コン」のお誘いを断って。ええ、もちろん、独りで。
 いいのか、私!?なんか、ものすごい「ご縁」を逃してたらどうしましょう(笑)?

 ミュージシャンである朴保さんの音楽活動が、ドキュメンタリーとして映画化されている。今日は、その上映前にミニライブがあるというので、さっさと仕事も(合コンも)切り上げて十三に向かったのです。どこの馬の骨か分からぬ男より、朴保さんなのです。

 朴保さんは、10年前に船旅でご一緒させていただき、どんなすごい方なのかも知らないままインタビューをさせてもらった方でもある。只者ではない雰囲気に、びびりまくって話した思い出は鮮明。朴保さんの歌が、それを「歌うこと」が、どんなに意味のあることなのか、当時の私は生意気すぎて分からなかった。自分が正しいと思うことを「歌う」ことを、大人になったら自分も当たり前に出来るものだと思っていた。「俺も一度は日本名でメジャーデビューしたんだ」「(他のミュージシャンの)どこがロックンロールだ」って話されていた意味が、今はもう少し重みを増して感じられる。

 朴保さんは今日も『イムジン河』を歌ってくれた。10年間、38度線は結局、「38度線」のままだったな。
 映画で流れる彼の古い曲を、意外に私はほとんど口ずさめた。
 「原発のこと、ヒロシマのこと、従軍慰安婦のこと、何を歌おうが、これが僕のラブソングだ」
 10年前、朴保さんは、そんなことを言っていた。
 

 
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by bag-tentomusi | 2009-09-05 23:19

旅に出ること

 ここ最近のブログが、なにやら深刻な内容になってきていて、「おいおい、大丈夫かよ」という声が聞こえてきそうなことがないこともないので(笑)、軌道修正を図らねばならない。

 実は間の悪いことに(?)、職場の異動でテンヤワンヤな時期にちゃっかり大型連休をとっちゃって、渡航計画を着々と進めたりしている。そういうわけで、片方でセンチメンタルっぽい顔をしながら、頭の半分くらいで本当は、来るべき日々のことを考えてニヤニヤしている。あまり大きな声では言えないけれど。
 いや、連休があるから、この程度のセンチメンタルっぽさで済んでいるのだ。はっはっは!えっへん(笑)!

 まぁ、異動があろうとなかろうと、今の職場を4日間も不在にすることには結構な勇気と開き直りと厚かましさが必要で、そんなことを考え出すと最近は面倒になってきて、長らく長期の旅行は諦めてきた。昔は、少々の無理をしても出かけていたのだけれども。
 それが先日、ネパールを旅された方のお話を聴いて、旅行熱がフツフツと沸いてくるではありませんか。あー、このムズムズ感は久しぶり。もう、「奪われてきていたものを取り戻した」くらいの感覚。

 旅に求めるもの。空気。臭い。音。
 何にも観れなくてもいい。観たものは、たいがいは忘れちゃうから。
 でも、空気と臭いと音は覚えてる。ときどきフッと、あの日の空気がよぎって、どきっとするときがある。
 飛行機を降りた瞬間の南国の風とか、汗と埃とヌクマム(魚醤)の臭いとか、クラクションの音とか。そこに、出会った人やその土地の歴史が幾重にも重なって、「景色」を作り出していくあの感覚。
 
 別に旅の感覚を忘れてたわけじゃないと思う。学生のころ遠い国に求めたそれと同じことを、今の私は自分の働く町でしてきただけのこと。毎日、そんなふうにして「景色」は作り出されてきた。だからしばらく、「遠い国」はなくてもよかった。
 
 それでもあの、国境を越える感覚。見知らぬ国へ行くときの、どうしようもなく自由な感じ。小さいときに、独りで家を出て探検したときと全く同じ、恐いくらいに自由で可能性にあふれてて切なくて。
 
 今回は、そんなたいした旅じゃないけど。でも。
 ああ、あの感覚だよ。
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by bag-tentomusi | 2009-09-05 00:47


「知彩庵」より。日々の咀嚼と、紡ぐことば


by bag-tentomusi

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